県内を震撼させた談合事件の後遺症
2021年09月27日
ここ数年、県内を縦断するが如く談合や贈収賄など、県警による不正事件の摘発が続いている。3年前の佐渡市から始まり、今年5月の糸魚川市まで。さらに「次は○○市、××業界」といった噂も一部でささやかれている。県内を席巻した談合事件では、その後遺症が深刻さを増している。重症化させている主な要因は変動型最低制限価格の導入で、「役人の、役人による、役人のための入札制度改正」というウイルスが作用しているらしい。
3年前の官製談合事件を契機に、入札制度の改正を実施した佐渡市。主な内容は予定価格の事前公表と変動型最低制限価格の導入だった。その成果はいかがなものか…と聞きたいところだが、「それどころではない」という。今や工事の業界は〝最後の晩餐〟にありつけるか否かの瀬戸際だとか。
県内を流れる〝三途の川〟
「平成の大合併」前だから、20年以上も昔のことになる。ある建設コンサルタント業者に、県のお役人がこう言ったという。「県内には渡るに渡れぬ三途の川がある」。
この場合の「三途の川」は「3本の川」ということで、「川の向こうは違った世界」といった意味らしかった。その「三途の川」とは、「相川、津川、糸魚川」だとか。合併して旧相川町は佐渡市に、旧津川町は阿賀町になった。現在の糸魚川市は旧糸魚川市と能生、青海の2町が合併して新しく誕生したもの。
前出、県のお役人の言は何やら予言めいていた。3年前の平成30(2018)年1月、佐渡市で官製談合事件が発覚。同年8月には阿賀町で贈収賄事件が明らかになった。そして今年5月、糸魚川市の官製談合事件で市の係長や建設会社の営業部長らが逮捕された。
これら3件のほか、2年前の平成31(2019)年1月に明るみに出たのが長岡市の官製談合事件。地元県議の秘書や市の幹部らが逮捕されるという一大事に発展した。翌年2月には燕市でも入札に関係した不正事件(公契約関係競売入札妨害)が発覚。昨年10月には新潟市秋葉区が発注した公園の管理業務を巡る入札で、官製談合事件が明らかになっている。
新潟県警察による一連の摘発シリーズでトップを飾ったのが佐渡市の官製談合事件だった。舞台となったのは上水道の設計業務に関する通常型指名競争入札(平成29年9月12日開札)。事前に予定価格を教えた市の職員や、これを聞き出した新潟市内に本社を置く建設コンサルタント業者の所長らが逮捕、起訴され有罪判決を受けた。
県下を縦断するかの如く、摘発が続く不正事件。談合関連が発覚した後の自治体では、判で押したように、再発防止を目的とした「入札制度の改正」が行われている。こうした「改正」は、決して業者側の目線では行われない。多くの場合、「有識者」と呼ばれる大学教授や役所の見解に基づいて実施される。往々にして「改正」は入札に参加する業者にとって不満が残る結果となる。
大雑把に言えば、自治体が行う入札は工事と設計や測量といった業務に分かれる(物品など除く)。工事ではなく、委託業務の入札で不正が発覚したのが佐渡市と新潟市秋葉区。後者は公園の管理で、前者が水道の設計という、ともに比較的狭い業種に関するものだった。
それゆえ佐渡に限った話ではないが、業者側から以下のような不満の声が漏れる。
「ごくごく一部の業者による不正行為のために、何で我々までとばっちりを被らねばな佐渡市が予定価格の事前公表らないのか」(佐渡市が発注する委託業務の入札参加業者)
至極ごもっともな話だ。…続きは本誌