総選挙で選びたい候補者、選びたくない候補者
2021年09月27日
9月19日現在、総選挙の日程は決まっていない。9月27日の自民党総裁選を経て11月に総選挙が行われる予定だ。最低でも6人が国政で汗を流すチャンスを掴むが、この4年間、本県代議士に目立った働きは見られなかったと田口氏。混迷深めるコロナ禍の新潟を救う人材は現れるのか。
結果を左右するのは浮動票
菅総理が自民党総裁選不出馬を決め、約1年での退陣が決まりました。主にコロナ対策が評価されず、菅内閣の支持率は下がる一方でした。そんな中、横浜市長選が8月22 日に行われました。
「コロナ専門家」だという、立憲民主党ら政権野党が推す山中竹春氏が50万6千票を獲得し、現職ら7人を退け当選。総選挙に向けて勢いづく野党、意気消沈の与党といった報道が見られました。
各候補者の得票率を冷静に分析すると、必ずしも野党が盤石だとは言い難いことが分かります。新人の小此木八郎氏は自民党、現職だった林文子氏も2017年選挙で自民の推薦を受けていた。二人の得票を足す(計52万票)と山中氏を上回ります。政権寄りとも言える維新出身で、神奈川県知事や衆参の議員を務めた松沢成文氏をここに足す(計69万票)という考えもできます。
とはいえ、政権与党側の負けは事実。「調整をしないとこういうことになるぞ。自民党の皆さん、分かりましたか」というメッセージになった選挙でした。本県にも2区など調整が必要な選挙区がありますよね。
政権与党が大ダメージを受けた横浜市長選なんて言われていますが、いま述べたように候補者一本化など調整さえすれば、総選挙で自民党は、苦戦はするものの、大敗することはないと見ています。
ただし楽観はできません。もう少し詳しく見ると、市長選で投票率が大きく増えたのは都筑区と青葉区になりますが、ここはいわゆる新興住宅街。これまでの横浜市長選では棄権者が多かった地域です。最も得票率が高かったのは両区とも山中氏で
すが、健闘したのが元長野県知事の田中康夫氏でした。無党派層の浮動票をかっさらいました。
無党派層が投票行動に出たことで投票率が上がりました。その結果、政権与党も野党も、無党派層、浮動票を十分に取り込めなかった。ということは、同様のことが総選挙でも起きたとしたら、特に自民党は苦戦すると思います。
というのも、自民党はもはや、都市部に限らず地方においても組織票を持っていないからです。浮動票が結果を左右するのです。特に投票率が上がった時には。そもそも現在の議席配分は完全に人口比例のため、大都市に手厚く配分されている。組織票より浮動票が多い都市型の選挙をやって浮動票を掴まないと、与野党とも勝てないわけです。
逆に言えば、地方で負けても大都市部で全部勝てば、国会では与党になれます。新潟で6戦全敗しても東京で25戦全勝すればいい。田舎の票をいくらかき集めても大したことはないというのが、現在の人口比例の定数配分なのです。
都市部に厚く配分される割に、都市部の投票率は低い。政治への関心は薄く、政治なんてどうでもいいと思っているからでしょう。だったら定数を地方に再配分してくれればいいのにと思いますが、論点がズレるので止めましょう。…続きは本誌