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2024年11月22日

百条委設置で大揺れの村上市議会

2021年08月27日

8月3日開催の村上市議会臨時会では、議員発議による百条委員会の設置が提案された。採決の結果は賛否同数で、議長裁定により否決。このところ大揺れに揺れる同市議会だが、何と警察への通報騒動も勃発。見どころは本チャンの議会より、そちらかもしれない。

 

百条委設置は不発

8月3日、村上市議会の臨時会が開催された。この日、注目を集めたのが「議員発議第3号」で、以下の長い名前が付いていた。「民間の移動スーパー事業に伴う村上市職員による便宜供与に関する調査特別委員会設置について」。

 

「移動スーパー」とは、軽トラなどの自動車に商品を積み、移動しながら販売する業態のこと。現在のようなスーパーが一般化する以前、移動販売はそう珍しい存在ではなかったという。スーパーなど大型店やコンビニが小売りの世界を席巻する一方で、移動販売は姿を消していった。

 

だが「買い物難民」がクローズアップされる昨今、「移動スーパー」が注目されている。小売店がことごとく廃業してしまった過疎地はもちろんだが、高齢化が進んでいる大都市圏でもニーズが高まっているという。

 

移動スーパー事業について、県内のスーパー業界関係者がこう言っていたことがある。

 

「一見、誰でもやれそうですが、きちんと利益を確保した事業として継続することはけっこう難しいのです」

 

県内、あるいは全国でも、過去に移動スーパーを始めたものの、事業から撤退している例がけっこうあるという。

 

今回の議員発議のタイトルに登場する「民間の移動スーパー事業」を手がけているのが小杉武仁市議だった。4月20日、同市議が自身のブログにこう書いている。

 

〈私事ですが、以前にも少しお知らせしましたとおり、弊社(コスギ)ではフードサービス事業部を創設し、軽車両3台による移動スーパー販売事業と、買い物代行サービス事業を展開することとなりました〉

 

移動スーパーの名は「えびす丸」という。市議会で問題視されたのは、移動スーパーの事業そのものではない。議員発議のタイトルにある「村上市職員による便宜供与」の部分だった。

 

議員発議で設置が提案された調査特別委員会とは、いわゆる百条委員会で、地方自治法第100条に基づいて開かれる百条委では、関係者は虚偽の証言や正当な理由なく証言を拒むと禁錮や罰金が科される。

 

8月3日の臨時会で、この発議の提出者となったのが本間善和市議(市声クラブ)、賛成者となったのは佐藤重陽(新政村上)、木村貞雄(市声クラブ)、鈴木好彦(清流会)、稲葉久美子(無会派)の4市議。

 

発議の提案理由やら、賛成、反対の意見は省略するとして、当日の発議に関する結論部分は以下のよう。賛成、反対の意見が出そろったところで、三田敏秋議長がこう宣言した。

 

「これから議員発議第3号をボタン式投票により採決いたします。投票を開始してください」

 

村上市議会では参議院のように押しボタン式の投票を採用している。次いで議長はこう告げた。

 

「投票を締め切ります。賛否同数であります」

 

本会議場にある別掲した掲示板に出席議員(21)や総投票数、各議員の賛否状況が示される。村上市議会の定数は22。このうち三田議長のほか、小杉武仁市議はこの議員発議に関係する移動スーパー事業の当事者のため採決には加わらず。それゆえ投票総数は20。

 

その内訳は賛成10、反対10の同数だった。

「よって(中略)議長が本案に対して採決いたします。議員発議第3号については、議長は否決と採決いたします」

 

かくして注目の百条委員会設置議案は否決となって、臨時会午前の部は終了した。…続きは本誌

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