『気をつけたい目の症状〜前編〜』
2021年08月27日
西新潟なかむら眼科
中村 裕介 院長
■医師データ
中村裕介。新潟大学医学部卒。新潟大学医学部眼科教室入局。新潟大学医歯学総合病院眼科、県立新発田病院眼科、県立中央病院眼科、済生会新潟病院眼科などを経て開業。
目は小さな器官であるが、人間の知覚の8割は視覚が占めており、視覚の中心的役割を果たす目の役割はとても大きい。目はいくつかの機能をもった組織によって構成されており、病気になるとその部位に応じて様々な症状を呈することがある。
そこで今回は、いくつか注意したい目の症状について今月号と来月号の2回にわたって紹介する。解説は西新潟なかむら眼科の中村裕介院長にお願いした。
「気をつけたい目の症状のいくつかを、今月号と来月号でお話しします。
まずは『充血』です。充血は目が赤くなる状態です。アレルギー性結膜炎や細菌性結膜炎などでもよく見られる症状ですが、充血に加え、大量の目やに、かゆみを伴う場合は流行性角結膜炎(はやり目)を疑う必要があります。はやり目はアデノウイルスの感染によって生じ、暖かい季節に多く、目やにや涙を介して他人にうつる病気で
す。感染力が非常に強いため、手洗いの徹底やタオル共有の禁止など十分な感染対策をとる必要があります。眼科医院にて専用の検査を行い、原因となるアデノウイルスの検出を行います。点眼治療をしっかり行う必要があります。
充血の他に痛みや視力低下を伴う場合は角膜炎、強膜炎、ぶどう膜炎などの炎症疾患を考えます。また、頻度は少ないですが、急激に眼圧が上昇する急性緑内障発作も目が充血する疾患です。充血のほか視力低下、激痛、頭痛、吐き気を伴い、緊急治療が必要な疾患です。
他に比較的頻度が多い疾患としては結膜下出血があります。結膜下出血は白眼の血管が切れて出血を生じるものです。痛みや目やにはありません。見た目は派手で驚かれることが多いですが、視力に後遺症は残らず、1〜2週間で改善します。
次に『急激な視力低下』です。…続きは本誌