難関大合格力 近隣県との比較で見えてくる本県の立ち位置
2021年07月27日
大学入試は、全国の受験生との戦いである。模試などで全国との受験生と比較して自分がどの辺(順位)にいるか、気にするとしたらそこだ。ところが、県内順位や県内偏差値を気にする受験生や保護者がいるという。それは、本県受験生だけが受験する高校入試までで終わり
にしなければいけない。本県受験生ばかり受ける大学など数えるほどしかない。本県だけを物差しにしていると痛い目に遭うことを、本稿で紹介するデータが物語る。
ライバルは全国にいる
「校内順位なんて何も意味がありません。ところが、定期試験などの結果でそれを出さないと、新入生の親からクレームが来たものです。ほぼ毎年のように」
とは、高校で管理職経験のある教員OB氏。進学校と言われる高校に入ってくる生徒には概ね、通塾経験があったという。塾の試験では当然のように順位付けがされ、それに慣れているからか、順位が入っていないと我が子がどの立ち位置にいるのか不安に駆られるのだという。
「毎年、東大に現役合格者を何十人と出すような高校なら、校内順位が気になってもまあ分かります。校内でトップなら東大が見えますからね。
新潟の高校にそんな学校、ないじゃないですか。県内の進学校と言えども、その多くは難関大学を目指す生徒と底辺の大学に甘んじる生徒が混在している。目指す大学が異なる母集団(校内)の順位を気にしてどんな気休めになるのか。大学受験とは、全国の受験生との戦いであることを伝えるという作業を毎年のように(新入生の保護者に)していました」 (同)
新潟の高校生が本県の大学のみならず、行きたい大学なら国内どこにでも行くように、全国の受験生も地元以外の大学を受験する。国立・新潟大学の学生は、6割超が県外出身者だ。新潟大学に行きたいと思っている受験生が、校内順位はおろか、県内順位すら気にしても仕方がないことが分かるだろう。県内で100番だったとしても、全国順位で5000番だったとしたら、入学定員約2200人の新大には、どの学部・学科を受けても合格可能性は限りなくゼロだ。
こうした話をある教育関係者に伝えると、陸上競技大会にたとえて返ってきた。
「陸上競技でたとえると分かりやすいと思います。高校の陸上大会は、一部種目を除き、県6位までがその上のブロック大会に行けます。本県なら北信越大会です。北信越大会で6位に入ると全国大会(インターハイ)に出場できます。
男子100メートルで10秒80を出して本県で優勝したとします。その後、北信越大会でも同タイムで優勝し、インターハイに出られました。めでたしめでたし、と。ところが、10秒80が東京都大会では7位相当だとしたら、インターハイどころかブロック大会にすら出られない。
このように、例え県内でトップを取っても、全国で戦うには全く力不足で話にならないということが往々にしてあるわけです。
受験も同じだと思います。県で1位であれば東大合格も視野に入るでしょう。でも10位だったら怪しい。東大に現役合格者を毎年100人も出す開成高校(東京都)の10 位と、本県の10位は、同じ10位でも立っている位置がまるで異なるわけです。全国を相手に戦う以上、校内順位や県内順位を気にしても仕方がないというのは当然のことだと思います」