新潟市発注 ビルメンテ業務入札の「疑惑の談合手口」
2021年07月27日
新潟市が発注する公共施設の清掃業務の落札価格が上昇傾向にある。これまで県外に本社を置く業者が安い価格で入札するため落札価格は下落傾向にあったが、市が市内業者を優先的に指名する姿勢を強めていることから、県外業者が入札に参加しづらくなり、落札価格が上昇傾向に転じているという。税金を納めている市民にとって落札価格は安いに越したことはないため、市当局による市内業者優先の業者選定の在り方は批判を呼びそうだ。
県外業者の入札参加で平穏から一転、叩き合いに
学校や複合施設など公共施設の清掃業務を手掛ける業界関係者が話す。
「新潟市内の業者を育成・保護するという大義名分があるとはいえ、われわれ県外業者を入札から排除することによって落札価格は明らかな上昇傾向にあります。当然ながら市が落札業者に支払う清掃費は血税で賄われますから、新潟市民の皆さんが納めた税金がその分余計に使われているということなのです」 (県外業者の社長)
そう話すこの人物は、県外に本社を置く清掃業者の社長だ。新潟市の入札に参加するようになったのは5年ほど前のことで、その当時は現在よりも格段に入札に参加しやすかったという。
この業界関係者がその理由について話す。
「当社も含めて県外に本社を置く業者の多くは入札で安値の札を入れるため、新潟市としてもわれわれ県外業者の入札参加を歓迎していたからですよ。実際のところ現在よりも当時のほうが、われわれが営業に出向いた際の市の対応も良かったですしね。
一方、いうまでもなく入札では最も安い札を入れた業者が落札しますから、新潟市内の業者がわれわれ県外業者に対抗するためには、それ以下の安値で入札しなければなりません。俗にいう“叩き合い”です。したがって県外業者が参加する入札は落札価格が下落するというわけですよ」 (同)
しかし、こうした状況を快く思わないのが当然ながら新潟市内の業者だ。県外業者が安値で次々と清掃業務を落札することから、同市内の業者たちは大同団結して“県外業者包囲網”を敷いて対抗してきたという。
この業界関係者が続ける。
「新潟市内の業者は束になって、われわれ県外業者が入札に参加しても落札できないように包囲網を敷いたのです。その手口をご説明しましょう。
新潟市は清掃業務の入札をするにあたって、市内業者を優先する形で業者選定を行います。要するに入札参加業者を指名するわけで、指名されると業者にファクシミリで通知が届きます。
すると、この通知を受けた業者は前回落札した業者のもとに指名されたことを報告するのです。その際、各清掃業務の入札は予定価格に応じて指名業者数があらかじめ決められていることから、たとえば6社指名される入札において市内業者5社しか判明しない場合には、残りの1社は県外業者が指名されたのではないかと見当をつけるわけです」(同)
このように市内業者はどの入札にどこの業者が指名されたのか、常に情報共有しているのだという。…続きは本誌