全国注視 衆院2区は「3A」と「菅・二階連合」の戦い
2021年07月27日
「3(トリプル)A」とは真珠や牛肉の等級ではない。安倍晋三前首相、麻生太郎副総理、甘利明自民・税調会長のことだ。この「3A」と、菅義偉首相、自民の二階俊博幹事長との関係が複雑で微妙なものだという。鷲尾英一郎、細田健一という二人の自民党現職がいる本県の衆院2区。次期衆院選でどちらが公認となるのか、「3A」と「菅・二階連合」の戦い、駆け引きといった様相もあり、全国注視の選挙区となっている(一部敬称略)。
〝キンチョーの夏〟到来
今年は梅雨明け頃から気温が30 度を超える真夏日が続いた。予想どおり、この夏も容赦のない猛暑が続くことになるらしい。そんな中で7月23 日には1年延期となっていた東京五輪が開会式を迎えた。これに先立ち、東京都では同月12日に4回目となる緊急事態宣言がスタート。8月8日までの五輪開催期間を含む同月22日がその期限となっている。
五輪開催の直前、都内では新型コロナの新規感染者数が千人を超え、「第5波」の到来といった様相を呈した。6月11日に英国コーンウォールで開催されたG7サミットが終了した頃、ある在京の国会議員秘書はこう言っていた。
「この夏は菅(義偉)首相にとって、まさに〝緊張の夏〟です。〝1日100万回〟を標榜していたワクチン接種がうまくいっているのか。そして東京五輪がどのような評判になっているのか。これらがうまくいっていれば、五輪の閉会式後に臨時国会を召集して大型補正予算を編成する。こうした実績を引っ提げて解散総選挙に打って出るという〝勝利の方程式〟を、菅首相は描いているはずなのです」
6月半ば、総選挙は「9月28日公示、10月10日投開票」が有力視されていた。それから1カ月ほど経過した7月中旬、新型コロナのワクチンについて「供給不足」が明らかになり、全国で接種の予定を見直さざるを得ない事態となった。東京五輪がどのような評判で終わったか、月刊誌という事情からお伝えすることはできないが、菅首相が描いたという「勝利の方程式」に狂いが生じているようだ。
だが今年10月21日という衆院議員の任期満了は動かない。衆議院が解散となれば、その日から40日以内に選挙が行われる。「勝利の方程式」に狂いがあろうがなかろうが、時間は待ってくれない。「緊張の夏」は菅首相にとってばかりではなく、衆院議員とその関係者にとっても同じこと。取り分け「自民分裂」とされる選挙区ではなおさら。
新潟2区も全国にいくつかあるこうした選挙区の一つだ。何せ与党自民党の衆院議員が2人いる。一人は鷲尾英一郎(当選5回)、もう一人が細田健一(当選3回)。かつて民進党の県連代表を務めた鷲尾だが、4年前の衆院選は無所属で出馬し、自民公認の細田に約1万6千票の差をつけて当選。細田は比例で復活当選した。
2年前、鷲尾は自民党に入党。だが衆院選で同党の公認候補となる2区の選挙区支部長は今も細田で、鷲尾の入党は「細田が引き続き選挙区支部長を務めることが条件だった」とされる。昨年、鷲尾は2区からの出馬を表明している。
自民党では細田が党内最大派閥とされる清和研(細田派)、鷲尾は志帥会(二階派)に所属。同党衆院2区の公認争いは「派閥の代理戦争」といった感もある。その決戦の時は近づき、「緊張の夏」を迎えた。…続きは本誌