官製談合追及で米田・糸魚川市長が気色ばんだ場面
2021年06月26日
糸魚川市で発覚した官製談合事件だが、これまで県内で摘発された事件より「さらに構造的で根深い」とも言われている。市議会での追及も始まったが、その矢先のこと。議員の発言に対し、米田徹市長が気色ばむ一幕があった。議長から市議に対し「不規則発言」の注意も飛んだが、事件解明に対する議員の意気込みも相当なものがあるようだ。
糸魚川市が揺れている。官製談合事件で市職員ら3人が逮捕されたのは5月19日。その後、市職員と、市内の建設会社、猪又建設の営業部長が起訴された。この事件が発覚する以前、同市では1月25日に警察から「不正が行われる恐れがある」と連絡が入り、翌日に予定された市庁舎のトイレ改修設備工事の入札が中止になった。
その後、この一件で3月11日に議会の全員協議会が開催された。だがこの場で当局側は、「現在、市として警察に相談しているところです」(総務部長)などと、具体的な内容について一切言及しなかった。糸魚川市では4月18日に市長選、市議選が行われ、米田徹市長が5選を果たした。それからほぼ1カ月後の逮捕劇だった。
県内の官製談合事件だが、ここ数年、佐渡市や長岡市、燕市や新潟市秋葉区で摘発されている。糸魚川市の件は、過去の事件に比較し、「尾を引くのではないか」といった指摘がある。「過去の事件では、発注側が漏らした金額に基づき、最低制限価格、ないしその近くで落札されていました。これらと対照的に、糸魚川市の事件では、市職員が伝えた金額に基づき、業者は予定価格付近、すなわち上限ギリギリで落札していました。
ほかの業者に受注意欲があれば、低額のフダを入れればいいわけで、業者間で受注調整が行われていたのでしょう。そこが明らかにならなければ、事件が解明されたとは言えない」(県内の建設業界筋)
糸魚川市の事件は「単に一人の市職員による不正にとどまらず、構造的なもの」といった指摘だ。市議会は5月25日に臨時会と全員協議会を開催。今回の事件について複数の市議が質問し、当局側は第三者委員会を設置する意向を示した。
6月14日から始まった市議会の定例会でも、当然ながら多くの市議が官製談合事件を取り上げている。5月25日の全員協議会でのこと、官製談合事件に関する市議の発言に対し。米田徹市長が気色ばみ、一瞬ざわつく一コマがあった。
古畑浩一市議がこう言った。
「市民の間でもマスコミの間でも、(今回の事件は)氷山の一角で、ほかにも(不正に)関わっている業者や職員がいるのではないか。もっと言えば(米田)市長が全部知っていてやらせていたのではないか」
ここで本会議場のひな壇にいる米田市長が声を発した。マイクを使ったものでないためはっきりはしないが、一部は「推測で言うなよ」と聞こえた。議長が古畑市議に向かってか、「不起訴発言はやめてください」と促し、「こっち(米田市長)じゃないですか」と同市議が応酬した。
そこで「暫時休憩」となったが、やり取りは続いた。
「議員の発言なら重く感じる。言っていいのか」 (米田市長)
議員の意気込みからしても、市議会で官製談合事件の追及は当分続きそうだ。