新潟市議会 市長与党が議長・副議長独占の波紋
2021年05月27日
新潟市議会は5月19日から3日間の会期で臨時議会を開催。任期の折り返しを迎え、議長、副議長などの人事が改まった。同市議会では中原八一市長の与党を任じる保守系会派「翔政会」が過半数を占める。2年前は副議長を公明党に譲ったが、今回は同会が議長、副議長を独占。その反動で、議会に大津波が押し寄せるか、それともさざ波くらいか…? と思ったら鏡のような静けさだ。「負け戦はしない」、「金持ち喧嘩せず」ってところらしい。
議長、副議長、大会派が独占
新潟市議会では慣例として2年で議長、副議長などが交代する。平成31(2019)年4月の改選から2年が経過し、議会人事の改選時期がやってきた。同市議会は5月19日から21日まで、3日間の会期で臨時議会を開催。新しい議長、副議長が誕生した。
結論から言えば、議長には江南区の古泉幸一氏(4期)が、副議長には北区の金子益夫氏(5期)がそれぞれ就任。前者は合併前の旧亀田町、後者は旧豊栄市時代からの議員。新潟市議となって議長、副議長に就任するのはともに初だ。
議長、副議長とも中原八一市長の与党を標榜する保守系会派、「翔政会」に所属する。同会は26人を擁し、定数51の市議会で過半数を占めている。同会は2年前の改選後、「中原市長支持」を一致点に、「この指とまれ」で誕生したという。
もっとも違った観測もあって、「新人議員に対して、中原市長側から翔政会に加わるように働きかけがあった」(非翔政会の市議)ともいう。
「中原市長は県議、参議院議員を経て市長になった。県議会は自民党が安定して多数派を形成している。市長は市議会も県議会みたいであってほしいと考えたのでは」(同)
翔政会の誕生以前、新潟市議会では保守系議員の1本化がならず、複数の保守系会派に分かれ、どんぐりの背比べ状態。これではどの会派も単独で多数派を形成することができない。そのため議長選になると一部の保守系会派は野党系の少数会派と手を組んで多数派を形成。議長や副議長のポストをものにしてきた。そのため議長の改選ごとにドタバタを繰りひろげ、それがまあ新潟市議会の名物でもあった。
翔政会誕生後、議長選は実にスマートになった。同会が過半数を占めるのだから当然のこと。2年前、議長に就任したのが東区の佐藤豊美氏(8期)。2回目の議長就任で、誰からも担がれやすいというのもある種の人徳だ。そして副議長には公
明党の佐藤誠氏(東区、4期)が就任。市議会で同党は4人。5人の共産党(改選時は6人)や民主より少ない少数派。同党の副議長ポスト獲得には、当然ながら市長与党の大会派、翔政会のバックアップがあった。
2年後の今回だが、前述のごとく翔政会が議長、副議長を独占した。これに対する非翔政会側の反発はないのだろうか…? 同会の一部市議について、「〝翔政会にあらずば新潟市議にあらず〟みたいな驕りが感じられる」という、非難めいた指摘も聞かれるが…。
これまた結論を先にいえば、非翔政会側にほとんど戦闘意欲なし。「負け戦を仕掛けたってしょうがない…」といった非戦論ばかりだった。「数は力」と、田中角栄時代からそう言われる。一部だけかもしれないものの、「翔政会にあらずば…」みたいな議員もいかがかと思うが、これに対抗しようともしない非翔政会の市議も不甲斐ない。…続きは本誌