医師6人の挑戦 ワクチン接種の「長岡モデル」
2021年05月27日
新型コロナワクチンの集団接種は主として土日に行われる。だったら主に平日、本来は個別接種を担当するクリニックが、集団接種並みにワクチン接種を行えば、全体の接種は早く終わり、高次医療機関の負担も減る。ワクチン接種をより早く終えることができれば、感染者は確実に減ることになる。こうしたワクチン接種の「長岡モデル」を実現すべく、さらに新しい地域医療の在り方を求め、本気で取り組んでいるクリニックがある。
土曜日最大400人接種
長岡市では5月22日(土)から65歳以上を対象にした新型コロナワクチンの集団接種が始まった。第1弾は同市の川東、川西地域が対象で、前者では「さいわいプラザ」が、後者では長岡中央綜合病院、長岡赤十字病院が会場となっている。集団接種の第2弾は山古志を除く市内9つの支所地域ごとに会場を設置して行われる。
第2弾の集団接種と同じく、6月1日から予約の受付を開始するのが、市内の開業医などで実施される個別接種(65歳以上対象)。個別接種は、かかりつけ患者限定と、かかりつけ患者以外の接種も実施する医療機関に分かれる。このうち後者について、長岡市が示した一覧には同市内にある20 の医療機関が名を連ねている。この一覧には医療機関ごとに接種開始や予約受付の開始日などが記載されているが、その中で際立った存在が、同市下柳にあるエールホームクリニックだ。
ワクチン接種の予約は3本の電話回線で平日9時から17時まで、このほかホームページから常時受け付ける。一覧表の欄外にはエールホームクリニックのワクチン接種に関する特記事項が掲載されている。主な内容は以下のよう(本誌で要約)。
〈・接種可能日時 月〜金(祝日、年末年始除く)9時~18時、土 9時~17時 ・接種可能数 平日最大 250回、土曜日最大400回 ・医師がワクチンを接種 ・地域や町内会、団体等とりまとめての希望も受け付ける ・アナフィラキシーショック(※)等の対応のため、接種担当のほかに緊急対応の医師を配置 ・調剤薬局との協力体制を確保〉
(※発症後、極めて短い時間のうちに全身にあらわれるアレルギー症状で、重症の場合がアナフィラキシーショックと呼ばれる)
開業医などで行われるワクチンの個別接種の場合、日常診療の合間に実施されるのが一般的。したがって時間や接種回数も限定的となる。ところがエールホームクリニックの場合、例えば接種可能数〈平日最大250回、土曜日最大400回〉と、まさに桁違いだ。長岡市で行っている集団接種の第1弾では、長岡中央綜合病院、長岡赤十字病院とも接種の定員は1日当たり300人となっていた。
エールホームクリニックの場合、まさに集団接種並みの接種体制だ。さらに〈地域や町内会、団体等とりまとめての希望も受け付ける〉というのも、ほとんど聞いたことがない。同クリニックのワクチン接種対応は、まさに異例かつ特異なものとなっている。…続きは本誌