市長・市議選直前の糸魚川で建設業界の震撼
2021年03月26日
1月末のこと、糸魚川市で「不正が行われるおそれがある」と、入札が中止になった。その後、「市内の業者が警察から事情聴取を受けている」といった話が、地元どころか県内の建設業界に広まった。同市では4月18日に市長選、市議選が行われる。前者では5選を目指す現職vs新人で、激戦模様。入札中止の余波が選挙に影響を及ぼす可能性もある。
「警察に相談している」
「不正が行われるおそれがある」と、糸魚川市が入札の中止を発表したのは1月27日のこと。中止となったのは「本庁舎トイレ電気設備改修工事」と「本庁舎トイレ改修工事」の2件。いずれもインターネットを利用して実施する電子入札で、入札参加資格に一定の条件がある制限付き一般競争入札で行われる予定だった。
工種は前者が電気で、後者は管。工事のランクはどちらもCだから、130万円以上、1千万円未満で、それほど大規模なものではない。ただし、どちらの入札もA、B、C級、いずれの業者も参加可能だった。電気工事の前者では「糸魚川市内に本店等又は支店を有する者」、管工事の後者では「糸魚川市内に本店等を有する者」などが入札参加の条件とされた。同市の発表を受け、上越地区の地元紙など、複数のメディアがこの一件を伝えた。工事の入札中止が報道されることはそうあるものではない。
糸魚川市議会の3月定例会は2月22日から3月19日まで、26日間の会期で行われた。同市では市議と市長の任期満了が同日で、いずれも4月18日に改選を迎える。任期中で最後となった定例会では、二人の市議が一般質問で入札中止の一件を取り上げた。
このうち3期12年務め、今期限りで引退する笠原幸江市議はこう言った。
「私が議会に席を置かせていただいて、初めての事案であります。なぜそのような経緯になったのか、市民に対し行政の説明責任があると考えています」
笠原市議のほか、保坂悟市議もこの一件を取り上げた。だが二人の質問に対する米田市長の答弁はシンプルそのもの。
「適切な入札事務の執行のため、お知らせできる事項について議会や報道関係者に公表したものです」 (米田市長)
担当部課長の答弁も似たり寄ったり。
「第三者、それがどなたかは申し上げられませんが、そこから市に(不正が行われる恐れがあると)通報があって、現在市として警察に相談しているところです」(総務部長の答弁)