市議会で追及された 長岡市・米百俵プレイスの忖度行政
2021年03月26日
副市長に近い無名の小規模業者に、基本設計、実施設計だけで2億円余を随意契約で委託していたのが長岡市の目玉事業、米百俵プレイス(仮称)だった。そこに「忖度」はなかったのか? 市議会3月定例会で聞かれた市側の答弁は、「下手な逃げ口上」のようにしか思えないのだが。
「忖度」の始まり
本誌ではこれまで何回か長岡市で進められているビッグプロジェクト、「米百俵プレイス(仮称)」に関連する記事を掲載してきた。この事業に関する疑念について、その都度同市の担当部署である中心市街地整備室(中整室)に質問し、得られた回答は極力そのまま紹介した。
それでも拭い切れないのが「忖度」への疑念だ。過去の記事と重複する部分もあるが、まずおよその経緯を紹介したい。
長岡市では市街地の再開発事業が進行中だ。施行面積は約1・7ヘクタール。総事業費は約263億円とされる。事業施行期間令和7(2025)年度まで。この地に整備されるのが、「米百俵プレイス(仮称)」で、長岡商工会議所などが入る「米百俵棟東館」、第四北越銀行などが入る「米百俵棟西館」のほか、「住まい・にぎわい棟」、「駐車・にぎわい棟」などが建設される。
長岡市では「米百俵プレイス(仮称)」に人づくりと産業振興を総がかりで支える地方創生の拠点として「人づくり・学び・交流エリア」を整備する。
〈まちなか図書館や若者ラボなど多様なアクティビティを促進する機能や、産業人の育成や産業基盤の強化・新技術の開発に資する機能の導入を図ります〉(長岡市のウェブサイトより)
最初の「忖度」は、「米百俵プレイス(仮称)人づくり・学び・交流エリア」の内装について、その基本設計、実施設計など約2億500万円を随意契約(随契)で受注するなどしたプラネットワークス(東京都渋谷区、PW社と略称)に関することだ。
PW社は長岡市内ではほとんど知られていない企業だった。その名が初めて登場したのは平成29(2017)年に実施された「米百俵プレイス(仮称)」に関係する業務のプロポーザルだった。当時の信用調査機関によるデータによれば、同社の資本金は1千万円、従業員数は4人、売上高は8千万円ほど。
PW社の提案が最優秀に選定されたプロポーザルの名称は「大手通表町東地区市街地再開発事業(仮称)計画コーディネート(その3)業務委託」。公告があったのは平成29年(2017)年8月4日のことだった。このプロポーザルの内容は「米百俵プレイス(仮称)」に整備される図書館や産業ビジネス交流館など建築設計に向けた計画方針の作成、市民合意形成に向けた提案などに関するもの。
参加を表明したのはPW社を含む3社で、同社以外は図書館の実績では全国的に知られた企業らで構成する共同体だった。結果として同社は最優秀となったわけだが、同社の代表は、長岡市の再開発部門などを担当する高見真二副市長と東京芸大建築科の同窓で、同副市長が「市有施設の整備等でアドバイスを得る建築設計の専門家の一人」だった。
高見副市長はプロポーザルが公告される前の5月に東京・代官山にあるPW社のオフィスを訪ねていたし、同社の代表らも長岡を訪問したり、公告直前の長岡花火ウェルカムパーティーに出席したりしていた。こうしたあたりが「忖度」を疑わせる理由でもある。…続きは本誌