長岡市「米百俵プレイス」(仮称)の超忖度な部分
2021年02月26日
長岡市が進めるビッグプロジェクト、「米百俵プレイス(仮称)」の事業者選定には摩訶不思議な部分がある。一つはまったく無名だった小規模な東京の企業が2億円余の設計業務を随意契約で獲得する端緒となったもの。そして事業者選定を行う以前から、市がコンタクトを続けた国内最大手に、明らかなアドバンテージがあったと思われるもの。いずれも公正を装う〝隠れ蓑〟とも言われるプロポーザルでの事業者選定だった。
国内最大手登場
昨年8月17日のことだ。長岡市が進めるビッグプロジェクト、「米百俵プレイス(仮称)」に関連する簡易評価型プロポーザルの選考結果が公開された。
業者選定でも価格で競うのが競争入札。一方、プロポーザルは「企画の競争入札」とも呼ばれる。各種の業務委託や建築物の設計などで、業務に対する方針やアイデア、実施手法などに関する企画の提案を募集する。そしてヒアリングを実施した上で、優れた提案を行った者を選定する。こうした手法がプロポーザルだ。
競争入札は価格で勝負が決まる。結果は誰が見ても一目瞭然だ。プロポーザルの場合、提案に対する評価は人によって異なる。そのため「なぜあんなところが…」といった疑念が残ることもある。
プロポーザルでは、評価点の設定方法や審査する側の人選などで、「特定業者が有利になるよう誘導しやすい」とも言われる。それゆえ「公正な業者選定を行った」とするアリバイ作り、談合など〝不正行為の隠れ蓑〟などと指摘されることもある。決して長岡市のプロポーザルがそれに該当するというわけではないが。
長岡市では市街地の再開発事業が進行中。施行面積は約1・7ヘクタール。総事業費は約263億円とされる。事業施行期間は25年度まで。この地に整備されるのが、「米百俵プレイス(仮称)」で、長岡商工会議所などが入る「米百俵棟東館」、北越銀行などが入る「米百俵棟西館」のほか、「住まい・にぎわい棟」、「駐車・にぎわい棟」などが建設される。
長岡市では「米百俵プレイス(仮称)」に人づくりと産業振興を総がかりで支える地方創生の拠点として「人づくり・学び・交流エリア」を整備する。
〈まちなか図書館や若者ラボなど多様なアクティビティを促進する機能や、産業人の育成や産業基盤の強化・新技術の開発に資する機能の導入を図ります〉(長岡市のウェブサイトより)
前置きが長くなってしまったが、冒頭のプロポーザルは「米百俵プレイス(仮称)」の「歴史人物史展示基本計画策定業務」に関するもの。戊辰戦争後、米百俵を売却した代金は、国漢学校に注がれた。この国漢学校跡地に建設されるのが「米百俵プレイス(仮称)」。その歴史人物史展示は施設のシンボルになるような存在だ。
3社が参加を表明したプロポーザルで、最優秀となったのが乃村工藝社(東京都港区)。丹青社(同)と並ぶ国内ディスプレイ業界の最大手だ。明治の創業で、「その昔。東京・両国の国技館で開催された菊人形展の制作も行っていた」というのは、関係業界で広く知られた話だ。20年2月期で売上高は約1千436億円、経常利益は112億円。
公式の発表はないが、このプロポーザルには「市内業者も参加した」とされる。市内の一部から、「米百俵と言いながら、また県外業者か…」という、ため息交じりの声が漏れていた。…続きは本誌