新潟県給与名鑑 公務員編
2021年02月26日
新潟県は1年前、県財政の危機を理由に職員給与を減らす方針を打ち出していた。年齢や職責に応じて給与は年間0・5~5%カット、ボーナスは3~5%カット。これを4年続け、健全財政の道筋を付けるとした。ところが新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう。県内経済も打撃を受け、新年度の税収減は避けられないことが予想される。税収減の上、サラリーマンの収入も減れば、公務員給与はさらに減る可能性が出てくる。
民間準拠の公務員給与
ここのところ公務員に対する風当たりが厳しい。特定の誰かを批判するのではなく、対象は公務員全員と言っていい。景気の悪化など世情が委縮すると、庶民のはけ口は公務員に向かいがち。給料などは特にそう。
航空会社や旅行会社が冬のボーナスをゼロないし激減といったニュースを引き合いに出しながら、
「新型コロナでどこも苦しんでいるのに、公務員だけが微減というのはおかしくないか。のん気なものだ」
という年金生活者は電話越しに毒づく。別のお年寄りは知人が店を畳むかどうか瀬戸際だと言いながら、
「公務員は大した仕事もしていないのに給料も減らされずに優雅に過ごしている。だから世間の苦しみが分からないんだ」
と電話口で記者に説教。誰が悪いわけではないが、コロナ禍が人々の心を荒ませているようだ。
公務員給与は特定の誰かの給与水準に合わせているわけではない。「自分が下がったから公務員も下げろ」というのは理不尽そのもの。では、公務員給与はどう決まるのか。
民間給与を参考にして決められる。後でやや詳しく解説するが、簡単に言えば、民間の相場を調べ、その上で民間の水準と同じにし、さらに事実上、民間水準を上回らないようにする。ただし、調べるのは年1回のため、すぐに上げ下げできるものではない。
運輸業や観光業のように大打撃を食らった業界もあれば、巣ごもり消費で業績絶好調の業種もある。これら民間の業績、そして給料をならせば、コロナ禍以前の水準と変わっていないかもしれない。変わっていなければ、「民間が下がった」とは言えない。下がっていないなら公務員給与を上回っているとは言えないわけだから、公務員給与を下げる理由はない…ということになる。逆に、民間給与が上がっていれば、公務員のそれも上げる可能性が出てくる。いずれにせよ、来年度の調査結果から判断することになろう。
改めて、公務員給与はどうやって決めるのか。新潟市が市のHPで次のように解説している。
〈公務員は、民間企業の従業員と異なり、憲法で保障された労働基本権が制約されています。このような労働基本権の制約に対する代償措置として、地方公務員法により人事委員会の給与勧告制度が設けられています。
給与勧告は、市職員の給与が社会一般の情勢に適応した適切なものとなるよう、市職員の給与水準と市内民間事業所の従業員の給与水準を均衡させることを基本としています。
この給与水準を精密に比較するため、人事委員会は、毎年、市内民間企業の従業員の給与等について詳細な調査を行い、その結果を基に、給与等に関する報告及び勧告を行っています。〉
捕捉すれば、勧告を受けた市長が給与条例の改正案を議会に提案し、可決されると職員の給与が決まる。
人事委員会が置かれていない一般の市町村(本県の場合は新潟県と新潟市以外)は、国の取扱いや都道府県の勧告などを受けて、具体的な給与改定方針が決定される。実態は、それぞれの地域における国家公務員の給与水準を目安にしている。…続きは本誌