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2024年11月21日

薬に頼りすぎない「幸福寿命」のすすめ

2021年01月27日

別稿では新潟薬科大学の若林広行副学長から「体内時計と時間薬物治療」について解説していただいた。生体リズムを利用した時間薬物治療では、薬の使用を極力抑えることができる。薬好きの日本人が薬漬けにならないために、薬に頼り過ぎない「幸福寿命」を同副学長は提唱している。以下は同副学長のお話に基づいた内容(文責は本誌)。

 

血圧の〝常識〟

 

体内時計による生体リズムによって、私たちの体は朝起きる前から日中に活動するため、血圧が少しずつ上がってきます。逆に夜は心臓の負担を下げる意味からも、血圧は下がります。

 

こうしたリズムが私たちの体にありますから、血圧を下げる薬は、朝、昼と飲まなくても、夜寝る前に飲むことで血圧をコントロールできれば、心筋梗塞や脳梗塞を抑え死亡率を低下させることができるという、今はそうしたデータも明らかになっています。

 

健康な人でも血液は明け方に固まりやすくなる傾向があります。そうしたところに血圧が上がることで、血管が詰まってしまうこともある。心筋梗塞が午前中に起きやすいのは、このような理由からで、そんなことも今は科学的に分かっています。

 

血圧について申し上げれば、ここ最近は「130を超えると血管リスクが…」などと盛んに言われています。これは本当に根拠のある基準値なでしょうか? 昔は「年齢プラス90」などと言っていたこともあります。年をとれば血管の内側にコレステロールなどいろんな汚れた物質が付いて、こうした血管に血液をとおすため、血圧が上がるわけです。

 

最近は予防のために、「120まで下げましょう」と言われることもあります。そのためには血圧の薬をさらに増やして飲まなければいけなくなることもあり得ます。

 

血圧の薬について言えば、一般に「死ぬまで飲み続けないといけない」という固定観念のようなものがあるようです。薬を数カ月続けて血圧が下がったら、止めてもいいわけです。薬を止めても血圧が上がらないようにするには、毎日歩いたり食事量を減らしたりして、体重を減らすといった努力をして、それで血圧が上がらなければ薬は止めて様子をみればいい。「死ぬまで」という誤った認識が植え付けられているようです。

 

 

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