ウィズ・コロナ時代を生き抜く中小零細企業の戦略
2020年12月26日
大手、中小零細を問わず、2年目のコロナ禍を迎える2021年は企業にとって正念場となるに違いない。経営環境はまだ新型コロナウイルス感染拡大が表面化していなかった昨年初めよりも明らかに悪化している。これを受けて従来の地域依存型経営から脱却、インターネットを通じて全国展開へと大きくカジを切る中小零細企業も現れ始めている。
ミシュラン掲載の日本料理店がネット通販に新規参入
政府の観光支援事業「Go To トラベル キャンペーン」が12月14日、突如として全国一斉に一時停止することが決まった。一時停止の期間は12 月28日から1月11日まで。決定から一夜明けた15日、妙高市のスキーホテルの関係者はこう嘆いた。
「せっかく降雪に恵まれて〝さあ、年末年始の書き入れ時〟といったタイミングでの一時停止にガックリきています」 (ホテル経営者)
このスキーホテルは大人2名の一泊料金が1万円。これまではGo To給付額が3500円付くため、客は実質的に一泊6500円で泊まることができたが、Go Toの一時停止が決まったことにより事態は一変した。
この人物が続ける。
「Go Toが一時停止しただけでも大きな痛手なのに、悪いことに一時停止が始まる12月28日から年末年始の特別料金になるのです。大人2名の通常の一泊料金が1万円なのに対し、特別料金は5割増しの1万5000円です。
通常料金のときにGo To給付を受けて一泊6500円で泊まれていた同じ部屋が、年末年始に1万5000円ですからね。お客さんにしてみたら物凄く割高に感じるわけですよ」 (同)
いかに年末年始の特別料金とはいえ、それまでの2倍超の料金となれば客足は遠退くに違いない。
このホテルでは従来の大食堂での食事を見直し、部屋食に切り替えるなど、さまざまな新型コロナ感染防止策を講じているという。
スキー客の多い妙高市では同様に部屋食に対応するため設備投資をしたホテルがいくつもあるが、Go Toの一時停止はこうした関係者らの努力に水を差した形だ。
一方、宿泊業と同じように苦境にあえいでいるのが飲食業界だ。2020年4月の緊急事態宣言に伴う時短営業要請をきっかけに、多くの店が新たにテイクアウトサービスを始めたのは記憶に新しい。
しかしこのテイクアウトブームも緊急事態宣言解除後に一気にトーンダウンしたことから、今ではまた違った新たな試みが始まっているという。
関係筋が話す。
「たとえば昨年発売された『ミシュランガイド2020特別版』でミシュランプレートを獲得した新潟市の日本料理店は、人気商品の通販を開始すべく準備を進めています。ミシュランプレートを獲得した人気店とはいっても、実店舗の売り上げだけではなかなか経営が厳しいわけですよ。
その点、通販なら顧客は新潟の人たちにかぎらず、全国へと拡販できるかもしれませんからね。同時にネットを活用した新規顧客獲得にも力を入れていくそうですが、当然ながらミシュランプレート獲得店ですから、やり方によっては県外からも客を呼び込める可能性があるでしょうね」 (飲食業界関係者)…続きは本誌