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2024年11月23日

20年の時を経て今なおゴタゴタ続きの佐渡市新庁舎建設問題

2020年12月26日

2004年に島内10市町村が合併して誕生した佐渡市。合併協議を進めるに当たり2001年に設立された合併検討協議会で、新市誕生後、新庁舎を建設することなどを盛り込んだ新市建設計画を策定した。新庁舎は、合併時からの悲願とも言えた。あれから約20年、新庁舎はまだできていない。それどころか、建てる、建てないで未だ揉めている。怨念や怨嗟が渦巻く政治力学に翻弄されているようだ。

 

かつては庁舎位置を巡り合併協を離脱した町も

 

遡ること4年半前の2016年4月、佐渡市長選で現職の甲斐元也氏を破って三浦基裕氏が初当選した。甲斐氏は在任中、新庁舎建設議案を議会に諮り、議会も同意。市長と議会の考えが一致したところで、いよいよ建設を待つばかりとなった。

 

ところが、三浦氏がこれを引っ繰り返した。当初は建設見直し案を提案していたが、これに議会が反発すると、以降は頑なに建設しない議案を議会に提出。建設賛成派が多数の議会は、予算案を含め、関連議案を否決するなどして抵抗した。市民が訴えた建設の是非を問う住民投票条例案を、議会が「やれ」と可決すれば、三浦氏は再議でこれを葬った。三浦氏の1期4年間で新庁舎は建設されなかった。

 

2020年4月の市長選では、建設賛成派市議らが推す新人の渡辺竜五氏が、三浦氏ら4氏を破って初当選。渡辺氏は市長就任後、「25年後には38億円の削減になる」と新庁舎建設を表明。9月に諮られた新庁舎建設関連の補正予算を議会は19対1で可決。再び市長と議会の考えが一致したところで、ハザードは取り除かれた…かに思われた。

 

島内はいま、新庁舎建設の是非を巡り、再び二分しかけている。建設に反対する複数の市民団体が1つになり、庁舎建設の賛否を問う住民投票の実施を求める署名を集め、市に提出したのである。その数4185筆(12月15日に有効署名数が3725筆だったと市は公表)。住民投票条例の制定を求めるために必要な署名数(933筆)を優に上回った。

 

先に「二分し」と記したが、一般市民、市出身者は案外、冷めた目で見ている。

 

「島内はコロナとは無縁だが、観光関連の産業は悲鳴を上げている。大赤字の佐渡汽船が倒産して船が出なくなったらもっと大変だっちゃ。若者はどんどんと島から出て行く。個人的には新庁舎などいらないと思っているが、いずれにせよこの問題に早くケリをつけ、山になっている課題に取り組んで欲しいっちゃ」

 

と男性農家が言えば、佐渡出身の新潟市民は、

「(旧金井町にある)佐渡総合病院に親の見舞いで定期的に佐渡を訪れ、ついでに(病院に隣接する)市役所に足を運ぶことがあります。新潟市役所も分館や白山庁舎はボロくて薄暗く、市民の評判は良くなかったようですが、佐渡の現庁舎も同様にお寒い状況です。以前から建て替えればいいのにと個人的には思っていますが、いまは新潟市民なので静観です。ただ、市長も議会も建設推進だというのに、いまだ建設反対派が声高に叫んでいるのは、ひとえに現市長への恨みつらみだと聞いています」

と話す。

新庁舎建設を巡るゴタゴタは今に始まったことではない。2002年8月、当時の佐和田町長である斉藤和夫氏(故人)が「新庁舎を佐和田に建てないなら、佐和田は協議会から離脱する」と合併検討協議会の場で言い出したのだ。新庁舎は現庁舎のある旧金井町、そして佐和田町、真野町が候補になっていた。…続きは本誌

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