『関節リウマチ』
2020年11月27日
村井整形外科医院
村井 丈寛 氏
■医師データ
村井丈寛。新潟大学医学部卒、新潟大学整形外科入局。新潟県立中央病院、鶴岡市立荘内病院勤務後、新潟大学医歯学総合病院のリウマチ専門外来で診察と手術を担当。父親である現名誉院長が設立した村井整形外科医院を2015年に継承。医学博士。
現在、わが国で約70万人が罹患しているといわれている関節リウマチ。根治が極めて難しい病気なので、治療でいい状態をキープするなど、病と上手に付き合っていくことが求められる。今回は関節リウマチを取り上げる。解説は村井整形外科医院の村井丈寛院長にお願いした。
「関節リウマチは、免疫システムの暴走により自身を攻撃する自己免疫疾患の一つで、主に関節がターゲットになる病気です。手足の指をはじめ、ひじやひざなど、ほぼ全身の関節に起こりえます。
40代から60代くらいの女性に多い病気ですが、性別や年齢に関係なく、誰でも発症する可能性はあります。
主な症状は関節の炎症による腫れや痛みです。進行すると関節が壊れて変形したり、強直といって固まってしまうこと
もあり、痛みが強く機能が悪くなれば手術などの外科治療が必要になる場合もあります。
関節リウマチの診断は触診による関節の腫れや痛みの確認、エックス線検査、超音波による関節滑膜の血流の観察、血
液検査で炎症反応やリウマチ因子の確認などを行い、総合的に診断します。
病気の原因ですが、関節リウマチは他の多くの自己免疫疾患と同様に、なぜ免疫システムが自身を攻撃するのか、まだ
詳細はわかっていません。発症に関わる因子として性ホルモン、遺伝的バックグラウンドの他、喫煙、最近は歯周病菌の
一種などの関与があげられていますが、単一の因子のみが引き金になるわけではないようです。病態は複雑で患者さんに
よって病状も様々です。したがって、病気を完治させる治療は確立されていないのが現状です。ですから、治療は、まず
は痛みをやわらげ関節の機能を維持すること、そして可能な限りほとんど症状のない状態である「寛解」を目指し、それをできるだけ長くキープすることが目標になります。…続きは本誌