県議会に翻弄された津南中等、佐渡中等 存亡の危機
2020年07月27日
県議会2月定例会で勃発したのが自民党県議団vs新潟県警察の〝仁義なき戦い〟だった。続く6月定例会はシリーズその2で、槍玉に挙げられたのが教育委員会、津南と佐渡の中高一貫校をめぐる一件だった。与党自民党の逆鱗に触れたのだが、無難なところに落ち着いた。
発火点は地元紙のスクープ
このところ県議会は前代未聞の連発だ。津南町と佐渡市にある中高一貫校(中等教育学校)をめぐる一件が浮上したのは県議会6月定例会のこと。それを予感させるハプニングは2月定例会で勃発していた。新型コロナウイルスの感染症がじわじわ広がっていた頃、2月17日から3月19日までがこの定例会の会期だった。
そこで前代未聞の事態が発生した。令和2年度の予算案を審議するこの議会で、過半数を占める自民党が予算の修正案を提出。これが賛成多数で可決された。予算案がそのまま可決されなかったのは戦後初だという。
修正されたのは県警分で、当初あった可搬式オービスの予算(1台分)、1千100万円が削除された。オービスとは主要な幹線道路や高速道路に設置してある自動速度取締装置のこと。従来型のオービスは道路の上に固定されている。制限速度を超えて走っている車両を自動的に検知し、ピカっと光ってドライバーの写真を撮る、あの機械のことだ。
固定式ではなく移動可能なタイプが可搬式。神出鬼没な取り締まりが可能で、通常の〝ネズミ捕り〟に比べ、取り締まりの人員も少なくて済むという。
県警と自民党がさんざんやり合った結果、可搬式オービスの予算が減額された。県の予算は1兆2千億円余ある。修正はそのごくごく一部なのだが、極めてビッグな出来事だった。
この一件、今になれば何だったのかと思ってしまう。そしてまさか似たようなことが県議会の6月定例会で起こるとは、誰も予想しなかった。
前回の可搬式オービスと同様、県議会の与党自民党の怒りをかったのが津南町と佐渡市にある中高一貫校をめぐる一件だった。発火点は津南町などを含む十日町エリアをカバーする地元紙で、6月下旬のことだった。
「十日町エリアはローカル紙が複数あるという稀有な地域です。その地元紙がまず津南町にある県立津南中等教育学校が募集停止の危機にあることを伝えたのです」 (メディア関係者)
まさにヒットだった。十日町市内の会社社長は、この報道にビックリ仰天したという。
「既に県の教育委員会が募集停止について地元説明を終えたという内容でした。津南中等は受験実績が県内トップ3に入る優秀な学校だと思っていました。しかし5年連続で定員割れを起こしていることも承知していたものの、まさか令和5年に募集停止などと、具体的な日程まで決まっているとは想像もしていませんでした」
「津南中等の募集停止は寝耳に水」とは、地元ばかりの話ではなかった。…続きは本誌