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2024年11月21日

コロナ禍 古町、新潟駅周辺で閉店・廃業の“感染拡大”

2020年07月27日

新型コロナウイルス感染拡大は本県にかぎっていえばいったん収まったようだが、いわゆる「夜の街」に残した爪痕は依然として残っているどころか、さらに傷口を広げて悪化の一途だ。コロナ禍にあえぐ繁華街の実情をリポートする。

 

あの店も潰れた、この店も潰れた…。県内全域で飲食店の閉店・廃業が数多く見受けられるが、県都・新潟市の「夜の街」の実情はこれが政令市かと思いたくなるほどの惨憺たるありさまだ。

 

常連客から愛された店が次々と閉店

 

関係筋が話す。

「古町界隈にしても新潟駅周辺にしても、夜10時を回るとかなり多くの店に明かりがついていません。臨時休業しているのか早じまいしたのかは不明ですが…」(古町の飲食店主)

 

4月末をもって閉店した古町通5番町の居酒屋古里もそんな店のひとつ。当初は〈休業〉の貼り紙がされていたが、現在は空き店舗となって売りに出されている。

 

個人で経営している小さな店が閉店しているだけではなく、目抜き通りに位置する大きな店も閉店を余儀なくされている。

 

新型コロナウイルスの影響かどうかは不明だが、柾谷小路に面した古町十字路の一等地で営業していた古町柳都庵は3月22日に閉店。現在も空き店舗となっている。席数84の大型店で、県産牛や地酒を提供。県外からの観光客の利用も多かったようだ。

 

前出の関係筋がいう。

「閉店した新潟三越からほど近く、新たにオープンした古町ルフルの向かいとあって文字どおりの一等地です。にもかかわらず閉店から4カ月経っても後継テナントが入らないのが現在の飲食店業界の苦境を象徴しています」 (古町の飲食店主)

 

創業50 年の歴史を持つ西堀前通6番町の澤寿司も3月末で閉店した。

 

近くに住む男性は「カウンター10席ほどの小さな店。気軽に食べに行ける大衆店でした」と閉店を惜しむ。

 

地元の不動産事情に詳しい人物が話す。

 

「古町界隈では緊急事態宣言後に閉めた店がいくつもあります。古町通7番町のアーケード街ですら空き店舗があるような状況です。しかしこんな厳しい時期ですからすぐに借り手は見つかりません。家賃は総じて下落傾向にありますね」(不動産会社役員)

 

こちらはコロナ禍の影響ではないが、西堀通8番町の西堀飲食店街も6月22日に入居テナントで構成する協同組合が解散、全店が閉店した。

 

1960年頃に建てられた“飲食店長屋”で、ピーク時には約20店が営業。しかし老朽化が激しいにもかかわらず改修工事の目途が立たなかったことから、協同組合を解散して60年の歴史に幕を閉じたという。

 

このほか古町の中心部から少し離れた古町通3番町で営業するダイニングバーのフーデリックも7月に入って閉店した。貼り紙には〈諸々の事情により〉とある。コロナ禍が原因とみられる。

 

同店のファンが話す。

「営業形態が特殊な店で、自分にとっては隠れ家のような空間でした。なにせ営業時間が午前11時半から翌朝7時まででしたから。昼間から飲み放題コースでお世話になったのもいい思い出です」 (40代男性)

 

全店舗が閉店・臨時休業のビルも

 

JR新潟駅前でも飲食店の閉店・廃業が相次いでいる。東大通1丁目の魚國屋も5月末をもって閉店した。

 

関係筋が話す。

「文字どおり魚料理をウリにした店で人気も高かったですね。

 

駅前界隈ではかなり名の知れた店であるにもかかわらず、決して値段は高くない。常連客には市会議員や大手自動車販売ディーラーの幹部らもいて客層も良かったのですが…」(新潟駅前の飲食店主)

 

同じく東大通1丁目のめん太郎も4月末をもって閉店した。同店はその名のとおりラーメン店だ。貼り紙には〈急なことではございますが、このたびの新型コロナ問題を機に…〉と閉店理由が記されている。

 

前出の関係筋がいう。

「夜の営業が主体の店でしたからね。緊急事態宣言で客足が減った影響をモロに受けたわけですよ」 (同)

 

めん太郎が営業していた2階建てのビルに入居していた他の2店舗の入口には〈臨時休業中〉の札が掲げられている。スナックビーバーとフィリピンパブのアモールアイランドだ。「営業再開はなかなか厳しいのでしょうね」 (同)

 

新潟駅前では飲食店だけではなく、飲食店無料案内所も閉鎖したところがあるという。

 

別の関係筋がいう。

「アフターホットナビ駅前総合無料相談所が閉鎖しました。同じビルで営業していたキャバクラも閉店したようですね」(不動産会社役員)

 

新潟駅南口からほど近いけやき通り沿いのビアダイニング麒麟の入口のシャッターには〈しばらくの間 緊急事態宣言の延長に伴い 5月末まで 休業とさせていただきます〉と書かれた紙が7月に入っても貼られたままだ。当初は6月に営業を再開する予定だったのだろう。

 

別の関係筋はこう話す。

「“臨時休業のお知らせ”と書かれた紙が入口に貼られたまま一向に営業を再開しない店が数多く見受けられます。緊急事態宣言に伴う自粛要請が延長されるなどしているうちに資金が底を突き、力尽きてしまったのでしょうね」 (新潟駅前の飲食店主)

 

夜の繁華街における閉店・廃業はこの先もまだまだ続きそうだ。

 

 

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