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2024年11月24日

大盤振る舞いが過ぎた南魚沼市の“プレミアム商品券”

2020年07月27日

2500円払えば5000分使える商品券の還元率は100%。お得なんてものじゃない。並寿司の値段で特上の生寿司が食べられるようなものだ。手に入れなきゃ後悔するが、そんな気前の良すぎる商品券、誰が売るのか? ナント、南魚沼市が売り出したのである。発売直後に完売御礼。市は好評だったとホクホク顔だったが、市には猛抗議の電話が殺到。どうしたことか。

 

「パフォーマー林」

 

南魚沼市民の間ではここのところ、加速度的に林茂男市長が話題になるという。ツイッターで言えば、「トレンドワード」か。ただし、どちらかというと批判が多いようで…。

 

「例えば5月に市長は、新型コロナ関連の給付金関連で高市早苗総務大臣に猛抗議し、あえなく無視されました。地元紙が報じたことから話題沸騰になるわけですが、当然ながら『恥ずかしい』という真っ当な市民の反応が火を噴くわけです。

 

自身をモデルに派手なポスターを作りますし、何かとパフォーマンスが好きなんですね。『パフォーマー林』と揶揄する人もいます。意味は分かりませんが、『ガッツ林』も聞きました。

 

そしてこのたび、還元率100%という超大盤振る舞いの『南魚沼市プレミアム付飲食・宿泊券』という商品券を発売しました。5000円分飲み食いしても2500円でOK。この事業を公表する際、市長は動画をアップし、猛アピールしました。市長肝いりの事業というわけです。

 

ところがこの商品券、買えなかった市民が実に9割もいたのです。不公平すぎて、市長どころか市職員まで『ポンコツ』、『ボンクラ』などとトバッチリを食らう始末です」

 

とは30代の男性市民。ブログを開設し、市政ウオッチャーとして林市政を批評している。ともあれ、今年11月に市長選が行われるとあって、再選を目指す林市長の鼻息が最近は荒いのだという。

 

「市長は11月に向けエンジン全開です。高市大臣への抗議、市のごみ処理施設問題(本誌注、2019年12月号掲載)、そして今回のプレミアム商品券。いろいろやらかすのですが、空回りしてうまくいっていません」

 

と市議会筋も呆れる。熱くなったエンジンは冷やさないと壊れてしまう。

 

この商品券は言うまでもなく南魚沼市民限定。市が発行し、市観光協会が実施主体となった。1冊5000円分の商品券を2500円で購入できる。還元率100%はプレミアムの名に相応しい。

勘違いしてはいけないが、これはコロナ禍で売り上げの減った旅館や飲食店などを支援するのが目的。商品券を購入した市民がお店を利用してくれれば、使用した商品券と引き換えに差額が入金される仕組みだ。よって、市民が喜ぶのは悪いことではないのだが、それ以上に市内事業者のピンチが緩和されることが大事である。

 

「でも、ごく一部の買えた人だけが大喜びしています。事業の目的からかけ離れました」 (同)

 

買えなかった多くの市民が市長と市職員を扱き下ろしたというわけだ。後で紹介するが、その数は凄まじい。

 

市はプレミアム商品券を4万冊発行した。事業費は1億円。還元率100%は間違いなくお得だ。なのに、なぜ評判が悪かったりするのか。しかも買えない市民がいたとはどういうことか。

 

「1つは、一人10冊まで(5万円分を2万5000円で)購入できたこと。要するに早い者勝ちで、売り切れた時点で販売終了でした。さらには購入の際、3密対策が取られていなかったこと。主にはこの2点です。さらに言えば、JA南魚沼の全13支店のうち、市外の湯沢店で発売されたこと、移動販売店や土産物店などが外されたことなど、細かなことを挙げればキリがありません」

 

買えなかったこの市民は不満げにそう指摘した。…続きは本誌

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