賭け麻雀”解禁”の道を開いた東京高検検事長と県警本部長
2020年06月26日
東京高検の黒川弘務検事長の賭け麻雀が無罪放免になったのを受けて、県内の雀荘経営者から歓迎の声が上がっている。「この一件を機に、お客さんたちは警察の摘発を心配することなく安心して麻雀を打つことができる」(下越地域の雀荘経営者)というわけだ。法の番人たる検察幹部の不祥事発覚により、検察が自ら法解釈を緩めるとはなんとも皮肉な話ではないか。
長期監禁少女発見の当夜に新潟県警本部長が賭け麻雀
関係筋が話す。
「新潟の警察は随分昔から賭け麻雀に対して大らかな見方をしており、東京や大阪などの警察のように雀荘に乗り込んで摘発に踏み切ることなど皆無でした」(下越地域の雀荘経営者)
この関係筋によると、新潟の警察が賭け麻雀を大目に見てきたことについてはある理由があるという。
同氏が続ける。
「ご記憶の方も多いと思いますが、今から20年ほど前、新潟県警本部長が自ら捜査の陣頭指揮を執らなければならない最中に、東京から来ていた警察幹部を三川村(現阿賀町)のホテルで〝雪見酒〟と称して接待し、食後に麻雀をやっていた不祥事が発覚しました。
本部長らは警察内部の調査に対し〝金銭を賭けていたのではなく、図書券を景品にして麻雀をしていた〟と説明したようですが、いずれにしても本部長は責任を取って辞職したのです」(同)
この関係筋がいう「新潟県警本部長が自ら捜査の陣頭指揮を執らなければならない」、その捜査とは「新潟少女監禁事件」にほかならない。
1990年11月に三条市の路上で誘拐された当時9歳の少女が、9年2カ月後の2000年1月にようやく加害者宅で発見されるという犯罪史上例を見ない誘拐監禁事件だった。
ところが少女が発見された当日、前出の関係筋が話すとおり県警本部長は東京から視察に訪れていた警察幹部を三
川村のホテルで接待。接待を受けていたのは県警を監査する立場にある検察庁特別監察チームの関東管区警察局長らだ。
宴席で犯人逮捕の報に接した関東管区警察局長は本部長に「(本部に)帰ったらどうだ」と促したというが、本部長は「大丈夫です」といって取り合わなかったとされる。
そして食後に本部長をはじめ、関東管区警察局長、生活安全部長、総務課長らが麻雀卓を囲んだというのだが、事態発覚を受けて本部長は自らの一連の行動により警察の信用を失墜させたとして辞職したのだった。
前出の関係筋が付け加える。「麻雀を打った当事者たちは〝図書券を景品にしていた〟と説明したそうですが、仮にそうだとしても図書券はれっきとした有価証券であり、金券ショップに行けばすぐに現金化できるため現金と一緒です。だからいかに金額が小さいとはいえ、賭け麻雀に変わりはありません。したがって不祥事発覚を機に、県警当局としては私たち一般人が行う賭け麻雀を摘発しづらくなったのです」(同)
新潟県警はこの不祥事が発覚して以降、よほど高額なレートで行う賭博性の強いものを除いて、仲間同士で楽しむような常識的なレートの麻雀は大目に見てきたというわけだ。
雀荘では客同士の現金の受け渡しはご法度
とはいえ警察が雀荘などで行われている賭け麻雀を絶対に摘発しないという保証はどこにもない。このため雀荘経営者らはお客が安心して遊べるように細心の注意を払ってきたという。
関係筋が話す。
「金を賭けて麻雀をするなどというと、昔の映画『麻雀放浪記』のように負けた人間が麻雀卓に札を投げつけるような、いかにも鉄火場といったイメージがあるかもしれませんが、うちにかぎらず全国どこの雀荘でも雀卓の上に現金を置く行為を禁止しています。
雀荘には4人連れで店を訪れるセットのお客さんと、1人で訪れて他のお客さんとゲームをするフリーのお客さんがいますが、うちではどちらのお客さんにもあらかじめ店が用意しているチップを現金と交換してもらい、お客さん同士は勝ち負けに応じてチップだけをやり取りしてもらっています。したがってお客さん同士の現金の直接的なやり取りはいっさいありません」 (同)
ではフリーで打つ際のレートはどのくらいか?
この関係筋が答える。…続きは本誌